高分子の構造と種類

高分子の構造は有機化合物に比べて非常に複雑です。

高分子の構造を決定する因子として、分子量、分子量分布、共重合成分、立体規則性、結合様式、分岐といったものがあり、構造式を単に記載するだけでは表現できない要素が多く含まれています。

高分子を理解する上では様々な構造が存在しうることを考慮したうえで、合成と材料の設計を行う必要があります。

この記事では高分子の構造の分類について解説します。

分子量、分子量分布

高分子の構造においてモノマー単位の構造が同じであっても、分子量による構造の違いがあります。

分子量や分子量分布によってポリマーの物性は変化しますので、これらは高分子の構造を特徴づける上で重要な要素です。

共重合成分

高分子を合成する際には共重合を行うこともあります。

モノマーAとモノマーBを共重合した場合はどのようにモノマー単位が高分子中に入っているかも重要になります。

ランダムな場合はABBABAABAABBBABA(ランダム共重合体)となるでしょうし、交互に重合した場合はABABABABAB(交互共重合体)となります。

また、ブロック的に重合する場合もあり、AAAAABBBBBB(ブロック共重合体)というようなパターンもあります。

立体規則性

二重結合に置換基を有するビニルモノマーから得られるポリマーは置換基の立体配置によって構造異性体が出てきます。

置換基の向きが同じ向きのものはアイソタクチック高分子、置換基の向きが交互に変化するものはシンジオタクチック高分子、置換基の向きがバラバラのものはアタクチック高分子と言います。

高分子の立体規則性によってポリマーの性質も変化します。

位置選択性

ビニルモノマーの場合、ラジカルが付加する際に置換基がある位置に付加するかその反対の位置に付加するかで、構造が変化します。

スチレンやMMAのようなモノマーの場合はエネルギー的に安定なラジカルが発生する頭-尾(Head-to-Tail)結合がほぼすべてであり、あまり位置選択性を気にすることは稀です。

ですが、ポリプロピレンや酢酸ビニルような付加反応がおこる際にエネルギー的に差異の小さいモノマーの場合は頭-頭(Head-to-Head)結合が高分子鎖中に含まれてきます。

このような構造の違いもポリマーの物性に影響を与えます。

分岐

高分子では主鎖中に分岐を有する場合もあります。

分岐の仕方によって、ポリマーの形も変わります。

例えば、星形ポリマーや櫛形ポリマー、ブラシ型ポリマーといったように分岐点をどのように持っているかで分類がなされています。

幾何異性体

ブタジエンなどの共役ジエンモノマーを重合すると高分子の主鎖中に二重結合が入ります。

この二重結合のシス、トランスで幾何異性体が存在します。

2次構造、高次構造

上で紹介した構造はすべて1次構造と呼ばれるものです。

1次構造は高分子の主鎖の構造を特定するものですが、実際の高分子では主鎖の立体配座による高分子鎖の構造もあります。

さらには分子内の相互作用によって立体的な構造を取る場合もあります。

まとめ

高分子は有機化合物と違って、多くの構造(異性体)を考える必要があります。

それぞれの構造はポリマーの物性に影響を与えるため、重合の際に狙った通りに制御することが重要になります。

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