ポリマーの融点とガラス転移点Tg

ポリマーは有機化合物(分子量の小さい化合物)と異なり、ポリマー内に結晶部や非晶部が存在しています。

このため、ポリマーを加熱していくとポリマーが溶融する温度(融点)以外にガラス転移点Tgという温度が存在します。

ポリマー内部では高分子鎖の運動状態は制限されていますが、ガラス転移点Tg以上の温度では一部の高分子鎖が動く状態になります。

このような状態は「ゴム状態」と呼ばれています。

ガラス転移点より低い温度では高分子鎖の動きがない「ガラス状態」となります。

また、ガラス転移点Tgからさらに高い温度にしてやると高分子鎖が完全に動ける状態となり、これが「融点」に相当します。

ゴムとエントロピー弾性

ゴムのような材料はガラス転移点が-100℃程度(ゴムの種類によって色々あります)であり、常温では「ゴム状態」を取っています。

このため、一部の高分子鎖は動くことができるので、非常によく伸びる性質が発現しています。

そして引っ張って伸びた高分子鎖はエントロピー的な不利な状態であるため、元のまとまった形に戻る力が働きます。

このようなエントロピーの作用に基づいて発現する弾性のことを「エントロピー弾性」と言います。

ゴムがびよーんと伸びて元の形に戻る性質はエントロピー弾性によるものです。

ガラス転移点Tgの測定方法

ガラス転移点はDSC(示差走査熱量測定)やDMA(動的粘弾性測定)などの熱分析によって測定することが可能です。

DSCは広く使われている熱分析の手法であり、簡便に測定できるメリットがあります。

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