リビング重合の基礎

連鎖重合において停止反応が実質的に存在しないものは「リビング重合」と呼ばれています。

ポリマーの成長末端の活性種が失活しないことからこのような名前がついています。

リビング重合が最初に発見されたのは、スチレンのアニオン重合です。

適切なアニオン開始剤を用いるとスチレンのリビングアニオン重合が進行します。

まず最初に開始剤のアニオンがスチレンへ付加反応を起こします。

付加反応で出来たアニオンはフェニル基によって安定化されたアニオンです。

これが成長末端となり、スチレンに次々と付加していきます。

また、成長末端はベンジル位のアニオンであり、水などを系内から厳密に取り除いておけば、失活することはありません。

また、このアニオンは主鎖への連鎖移動反応を起こすこともないため、実質的に停止反応がほとんど起こることはありません。

リビング重合においては開始反応が成長反応よりも十分に速い場合には狭い分子量分布のポリマーが得られます。

アニオン重合によるスチレンの重合であれば、非常に狭い分子量分布(Mw/Mn<1.1の)のポリスチレンを合成することも可能です。

狭い分子量分布を有するポリスチレンはGPCの標準物質としても使用されています。

リビング重合の種類

様々な重合方法でリビング重合が開発されており、以下のようなものがあります。

  • リビングアニオン重合
  • リビングカチオン重合
  • リビングラジカル重合
  • (リビング)開環メタセシス重合
  • リビング開環アニオン重合(イモータル重合)
  • (リビング)配位重合

これ以外にも連鎖重縮合系でリビング重合のように分子量分布の狭いポリマーが得られる系も存在しています。

いずれの重合も成長末端を失活させないことが重要です。

ラジカル重合は成長種がラジカルのために、成長末端を失活させないことが困難であると考えられていました。

ですが、休止種とラジカルの間の可逆的な反応を利用することでラジカルの失活を抑制し、リビングラジカル重合が可能なことが明らかになっています。

また、リビング重合の特徴として停止反応が起こらないため、モノマーが消費された後も末端の活性種が残っています。

この末端活性種と反応する停止剤を添加することで高分子の末端に官能基を導入することもできます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました