塊状重合(バルク重合)

塊状重合は溶媒を使わずに重合する方式です。

ポリエステルなどの縮合重合やビニルモノマーのラジカル重合で用いられる重合方法です。

この記事では塊状重合の特徴について解説します。

塊状重合のメリット

塊状重合のメリットは主に以下の2点です。

  • 生産効率に優れる
  • 不純物を少なくしやすい

塊状重合は溶媒を使用しないので重合速度が速く、釜を用いたバッチ式の重合では多くのモノマーを釜に仕込めます。

このため1回の重合でたくさんのポリマーが短時間で得られますので、塊状重合は生産性に優れます。

また溶媒を含まないことで重合速度が速く、少量の開始剤でも重合が進むため、開始剤由来や溶媒由来の不純物を低減できます。

塊状重合のデメリット

塊状重合のデメリットは、重合熱の除熱が難しい点と得られたポリマーの取り出しが難しい点です。

  • モノマーに溶解するポリマーでないと適用しづらい
  • 重合熱の除去が難しい
  • 得られたポリマーの取り出しが難しい

まず、塊状重合では溶媒がないため、重合でできたポリマーがモノマーに溶解しないとポリマーが析出してきます。

このため、塊状重合を行う際にはモノマーにポリマーが溶解する系である必要があります。

また塊状重合では重合が進むにつれて重合溶液の粘度が急激に上昇します。

このため重合熱を除熱することが困難となり、重合が暴走してしてしまう可能性があります。

さらに重合が進み、モノマーが少なくなると非常に粘度の高い液体やほぼ固体状となってしまうため、ポリマーを釜から取り出すことが困難になります。

他にもポリマーに残存したモノマーの除去も課題となる場合もあります。

塊状重合ではゲル効果の影響も大きい

除熱の点で注意が必要なのは、ゲル効果です。

ゲル効果はラジカル重合において重合溶液の粘度が上昇することで反応速度が上昇する効果です。

ポリマー末端のラジカルの拡散が遅くなることによって、ラジカル同士の失活が抑えられ、停止反応が抑制されます。

一方で重合反応はポリマー末端のラジカルの拡散に依存しにくいため、停止反応よりも反応速度が下がりにくく、結果として重合速度が上昇します。

粘度上昇によって、除熱が困難になるだけでなく重合速度の上昇という要素が加わるため、重合が暴走する可能性が高くなります。

塊状重合の例

ポリスチレンの製造では連続塊状重合が使われているケースが多いです。

他にもポリメタクリル酸メチルなども連続塊状重合で製造されている場合もあるようです。

また、ポリエチレンやポリプロピレンなども基本的には塊状重合により製造されています。

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