懸濁重合は水中にモノマーを分散させて重合する方式です。(※モノマーが水溶性の場合は、油層にモノマーを分散させます)
開始剤はモノマーに溶解するものを用いて、攪拌しながら水中にモノマーを分散させて重合を行います。
また、必要に応じて分散安定剤(界面活性剤)を用います。
この記事では懸濁重合について解説します。
懸濁重合のメリット
懸濁重合を行うメリットは以下の3点が挙げられます。
- 重合熱の除熱が容易
- 重合速度が速い
- ポリマーの取り出しが容易
懸濁重合では水中にモノマーが分散した状態で重合を行います。
重合はモノマー液滴内で進行しますが、周囲は水がたくさん存在している状態であり、水を介して重合熱を容易に除熱できます。
また重合反応自体はモノマー液滴内で起こるため、塊状重合と同じような重合速度となり、生産性にも優れています。
得られたポリマーも水中に分散している状態になっていれば、取り出すのが容易です。水を除去するだけでポリマー粒子が得られます。
懸濁重合のデメリット
懸濁重合のデメリットは重合を行うために水の加熱も必要な点です。
重合を開始するためには熱を掛ける必要がありますが、モノマー以外に水の加熱も必要なので熱効率は悪いです。
また反応釜に水を仕込むことになるので、1バッチ当たりに取得できるポリマー量が少なくなり、1バッチ当たりの生産効率は悪くなると言えます。
得られた粒子にモノマーが残存し、モノマーが好ましくない不純物である場合は除去も必要になります。
懸濁重合のポイント
懸濁重合で得られるポリマーは粒子状になりますが、重合中に液滴が合一して大きな塊が生成することもあります。
狙った粒子径のポリマーを作ろうと思うと液滴の大きさと安定性を制御する必要があり、撹拌状態や分散安定剤の最適化が重要になります。
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