高分子も有機化合物と同じように命名法が決められています。
しかし、有機化合物と異なり、高分子では単に構造式を書いても構造が一義的に決まらないこともあって、命名法についても複雑で複数の命名法が認められています。
ここでは、原料基礎名(モノマー構造に基づく命名法)と構造基礎名(主鎖構造に基づく命名法)を解説します。
なお、これらの命名法についてはIUPAC(国際純正応用化学連合)の勧告に基づくもので、日本国内では高分子学会からも「ポリマー命名の手引き」として命名に関する注意点をまとめた資料を掲載しています。
正確にポリマーの命名を行う必要がある場合は必ず参照しましょう。
原料基礎名(モノマー構造に基づく命名法)
原料基礎名はモノマーの名前から命名する方式です。
エチレンから得られる重合体の場合は「ポリエチレン」と命名します。
モノマーであるエチレンの前に「ポリ」と付けます。
一番馴染みのある命名法で直感的にはこちらの方が分かりやすいです。
構造基礎名(主鎖構造に基づく命名法)
構造基礎名は主鎖の繰り返し構造を有機化学命名法と同じように命名する方式です。
例えば、以下の構造の場合は「ポリ(メチレン)」と命名します。
繰り返し構造をカッコで括り、その前に「ポリ」を付けます。構造基礎名では繰り返し単位に括弧を付けない表記は誤りです。
上記構造のポリマーは原料構造名でいうところの「ポリエチレン」と同じ構造に相当しますが、命名法の違いよって呼び方も変わってきます。
2つ以上のモノマーからなるポリマーの命名法
2つ以上のモノマーからなる場合は一般的(慣例的)には原料基礎名で命名されることが多いです。
ポリ(A-co-B)のように名付けます。(A、Bはモノマー名)
ブロックポリマーの場合はポリ(A-block-B)、グラフトポリマーの場合はポリ(A-graft-B)となります。
構造基礎名で命名する場合は繰り返し単位をスラッシュで分けて表現します。
例えば、ポリ(X/Y)のように表記します(X, Yは繰り返し単位の名前)。
構造が複雑になるほど名称も複雑になる
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような有名な高分子でもまともに命名しようと思うと非常に大変です。
このような縮合重合系のポリマーはある程度は慣用名が認められています。
詳細はIUPAC(国際純正応用化学連合)の勧告か、高分子学会の「ポリマー命名の手引き」を参照することをおすすめします。
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