溶液重合は重合で生成するポリマーが溶解する溶媒を用いて重合する方式です。
ラジカル重合ではモノマーと溶媒とラジカル開始剤を仕込んで重合することになります。
ラジカル重合やイオン重合で主に使われている重合方式で実験室レベルではしばしば使う重合方式と言えるでしょう。
この記事では溶液重合について解説します。
溶液重合のメリット
溶液重合のメリットを挙げると以下の3点があります。
- (塊状重合と比較して)重合が進行しても粘度上昇が抑えられる
- 粘度上昇が小さいので除熱が容易、ポリマーの取り出しも容易
- 高重合率(高転化率)まで重合させやすい
溶媒があるため、重合溶液の粘度上昇は塊状重合ほど大きくなりません。
このため、重合熱の除熱が容易になりまし、重合終了時も粘度が低くなりやすいのでポリマー溶液の取り出しも容易です。
溶媒があるため、モノマーがほとんど消費されても溶液状なので、塊状重合よりも高重合率を目指しやすいというメリットもあります。
残存するモノマーが少なければ、モノマーを取り除く手間も少なくなります。
他にも最終的に溶媒を含んだ状態で取り出すならば、ポリマーを溶媒に溶解させる手間も不要になるという利点もあります。
溶液重合のデメリット
溶液重合のデメリットを挙げると以下の3点があります。
- (塊状重合と比較して)生産性が悪い
- (ポリマーを固体として取り出す場合は)溶媒を除去する必要がある
- (塊状重合と比較して)低重合度のポリマーとなる
溶液重合はモノマーを溶媒で希釈していることになるので、塊状重合に比べると重合速度が低下します。
また、釜に仕込むことを考えた場合には溶媒の分だけ釜の容量を食うことになるので生産効率は低下します。
このように溶液重合は塊状重合に比べると生産性に劣ります。
また、得られたポリマーを固体状のものとして取り出したい場合には溶媒の除去も必要になってきます。
逆に言えば、塗料のような最終的に溶液状のものとして取り出したい用途ではこのデメリットはありません。
溶液重合では溶媒への連鎖移動によって、塊状重合に比べて重合度(分子量)が低くなってしまいます。
どの程度重合度が低くなるかは溶媒への連鎖移動のしやすさによって変化します。
溶媒を分子量の調整剤(連鎖移動剤)として使える
溶液重合で比較的小さい重合度(分子量)を狙って重合する場合には、溶媒の量や溶媒の種類を変えることである程度分子量を調整できます。
溶液重合では溶媒への連鎖移動反応が起こりますので、これを積極的に利用して分子量を小さくするということです。
連鎖移動剤でも分子量を下げることもできますが、積極的に添加したくないケースには溶媒への連鎖移動も利用すると良いでしょう。
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