ラジカル重合可能なモノマー

ラジカル重合で重合するには二重結合を含んでいる必要がありますが、二重結合があればどんな化合物でも重合できるというわけではありません。

この記事ではラジカル重合可能なビニルモノマーを紹介いたします。

1置換モノマー

二重結合の一つだけが官能基で置換されたモノマーです。

立体障害が小さいため、基本的には重合可能なモノマーが多いです。

なおエチレンだけは置換基を有さないビニルモノマー(オレフィン)ですが、ここに含めます。

  • エチレン
  • プロピレン
  • フッ化ビニル
  • 塩化ビニル
  • アクリル酸、アクリル酸ナトリウム
  • アクリル酸エステル
  • スチレン
  • 酢酸ビニル

他にもまだまだありますが、ここでは代表的なもののみ挙げています。

プロピレンについて、ラジカル重合可能ではありますが、実際の製品は配位重合で製造されています。

これはラジカル重合では立体規則性のないアタクチックなポリプロピレンとなり、これは樹脂として使い物にならない(粘稠な液体となる)ためです。

なお、アリルアルコールなどのアリル化合物も二重結合を有する化合物ですが、ラジカル重合が上手く進行しません。

これは、ラジカルがアリル位の水素を引き抜いてアリルラジカルを生成してしまうためです。

1,1-二置換モノマー

二重結合の同じ側(ジェミナル位)に置換基が付いたモノマーです。

二重結合の置換基が増える立体障害が大きくなります。

このため、モノマーによっては単独重合をほとんどしないモノマーも増えてきます。

  • メタクリル酸メチル
  • メタクリル酸
  • α-メチルスチレン
  • 塩化ビニリデン
  • フッ化ビニリデン

メタクリル酸メチルの重合体(PMMA)はいわゆる「アクリル樹脂」で透明な樹脂です。

α-メチルスチレンは二重結合周りの立体障害がやや大きく、単独重合しにくい傾向があります。(このため、共重合成分として使われることが多い)

1,2-二置換モノマー

1,2-二置換モノマーは立体障害が大きく単独重合を起こさないものが多くなります。

ただし、一部の環状モノマーは単独重合を起こすことが知られています。

  • N-アルキルマレイミド
  • 炭酸ビニレン
  • 無水マレイン酸
  • クロトン酸

マレイミド誘導体、炭酸ビニレンは単独重合可能なモノマーです。

無水マレイン酸やクロトン酸は単独重合をほとんどしないモノマーです。

ですが、無水マレイン酸は共重合しやすいので、共重合成分の一つとして使われるケースはあります。

ジエンモノマー

1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエンモノマーも重合反応を起こします。

例に挙げたような共役ジエンモノマーはゴムの原料であり、工業的にも重要なモノマーです。

ポリマー中に2重結合が残ることでゴムとしての性質を発現しています。

3置換以上の二重結合は基本的に重合しない

置換基が多くなると二重結合周辺の立体障害が大きくなり、重合反応が進行しなくなります。

3置換以上の二重結合(アルケン)では基本手にラジカル重合はしないと考えて良いです。

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