ラジカル重合においてモノマーのQ-e値は反応性を評価する上で非常に便利です。
ビニルモノマーの二重結合は置換基によって、その反応が大きく変化します。
これは置換基によって生じるラジカルが安定化されたり、モノマーの極性が変わるためです。
これをパラメータとして評価するのが、Q-e値です。
Q-e値はスチレンとの共重合性比から計算される値であり、実験により求められるパラメータです。
Q値は共鳴安定化の程度、e値はモノマーの極性を表すと一般的に言われています。
スチレンモノマーを基準(Q=1.0, e=-0.8)としています。
Q値は大きいほど、共鳴安定化の程度が大きいです。
一般的にQ=0.2以下は非共役モノマーと言われており、酢酸ビニルや塩化ビニルが該当します。
e値はモノマーの極性の尺度を表しており、有機化学でいうところハメット則の「σ」の考え方に近いものです。
アクリル酸メチルのように二重結合に電子吸引基が付いている場合はe値は正の値を取ります。
逆に酢酸ビニルのように二重結合に電子供与基が付いている場合は、e値は負の値を取ります。
Q値は反応性の指標
Q値が大きいモノマーはラジカルの安定性が高いということを意味しています。
これはラジカル自体の反応性は低い、という意味になります。
このため、Q値の大きいモノマー(例えば、スチレン)は成長反応の速度が遅く、Q値の小さいモノマー(例えば、酢酸ビニル)は成長反応の速度が速いです。
e値は共重合性の指標
e値はラジカル共重合を行った際の、共重合性についての指標になります。
2つのモノマー間のQ値が近く、e値の差が大きければ交互共重合しやすくなります。(ラジカルの反応性が同じであれば、電荷のプラスとマイナスで引き合うため交互共重合になりやすい)
なお、Q値が同じ場合においてモノマー単独重合性はe値が大きいほど良い(成長反応が早くなる)傾向にあります。
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