水族館にある水槽は透明性が高く、一見するとガラスに見えますが、実は透明なプラスチックで出来ています。
プラスチックはガラスよりも衝撃に強いため、割れにくい性質があります。
このため、透明性の高いプラスチックは水族館の水槽に最適な材料といえます。
では実際どのような樹脂が用いられているのでしょうか。
水槽の素材はアクリル樹脂
水族館の水槽に使われている素材は「アクリル樹脂」です。
メタクリル酸メチル(MMA)というモノマーを重合して得られる樹脂(PMMA)で非常に透明性が高く、アクリルガラスとも呼ばれます。
また、非常に透明性が高く外観がよいため、プラスチックの女王と呼ばれることもあります。
水槽の樹脂はアクリル樹脂ですが、水族館のような大型の水槽になると強度が必要になるため、必要なアクリル樹脂の厚みも非常に分厚くなります。
大阪の海遊館の一番大きな水槽だと厚さ30cm、沖縄の美ら海水族館 の一番大きな水槽だと 厚み60cmになります。
しかし、大きさもあって非常に厚みのある樹脂板を1枚もので作成することはできません。
そこでアクリル樹脂の板を何枚も重ねることで分厚い1枚のアクリル樹脂の板にしています。
この樹脂の板を重ねるところに板を接着するために接着剤を使用しているのですが、接着するときに使う接着剤に秘密があります。
同じアクリル樹脂の接着剤で接着する
アクリル樹脂板を積層する際に、普通の接着剤を使うと接着剤の透明性がないため、せっかくのアクリルの高い透明性が損なわれてしまいます。
そこでアクリル樹脂用に作られた透明な接着剤が使用されています。
また、もう一つ重要なのが接着剤が透明でもアクリル樹脂と光の屈折率が違うと歪んで見えてしまうため、アクリル樹脂と屈折率が同じ同質の樹脂を用いています。
これによってアクリル樹脂版を何枚も重ねても高い透明度が保たれており、1枚のアクリル樹脂板のように見えます。
アクリル樹脂は透明性を活かして様々なところで使われている
今回はアクリル樹脂の用途として大型水槽を紹介しましたが、アクリル樹脂はその透明性を活かして様々なところに利用されています。
身近なところだとコップ、看板、照明器具のカバーなど、光学用途ではディスプレイの導光板やプラスチック光ファーバー、自動車だと車のテールランプカバーなど透明性が求められる用途が多いです。
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