紙おむつと吸水性ポリマーの話

身の回りの高分子

紙おむつは非常によく水分を吸収し、使い捨て可能なので非常に便利です。

紙おむつの中には、高吸水性ポリマーと呼ばれるものが入っており、これが大量の水分を吸収することでおむつしての役割を果たします。

この記事では、紙おむつに使われている高吸水性ポリマーについて解説します。

紙おむつの中身はポリアクリル酸ナトリウム

紙おむつにはポリアクリル酸ナトリウムという高吸水性ポリマーが入っています。

ポリアクリル酸ナトリウムは、アクリル酸ナトリウムというモノマーを重合して得られます。

分子中にカルボキシ基に由来する陰イオンとナトリウムイオン(陽イオン)があり、これが水と凄く親和性が良いのです。

しかし、単純に親和性が良いだけの部分がたくさん付いた高分子だと、なんと水に浸すと溶けだしてしまいます。

実はポリアクリル酸ナトリウムは普通にポリマーを作ると水溶性のポリマーになってしまい、紙おむつとしての役目を果たすことができなくなります。

架橋して網目構造にすれば、溶けなくなる

そこで紙おむつのような吸水性ポリマーでは、ポリマー同士を架橋することで水に溶けださないように工夫しています。。

化学式で書くと以下のようにポリマー同士を繋いでいる状態です。

このようにポリマー同士を架橋してやることで、ポリマーは網目構造を取ります。

この網目構造の中に水が入り込むことでポリマーが吸水します。また、ポリマー同士が結合しているため、ポリマーが水を含んでも溶けだすことはありません。

このようにして、紙おむつは高い吸水性を実現しています。

紙おむつは流してはいけない

紙おむつは水に溶けませんが、よく吸収するように設計されているので、下水に流すと詰まる可能性が高いです。

たまに言われるのが「塩を入れれば溶けるので流してOK」という話ですが、実際は溶けません。

塩を入れることによって、ポリアクリル酸ナトリウムの吸水力が落ちて、ポリマーから水が出てくるだけす。

基本的に架橋したポリマーが溶けることはありませんのでご注意ください。

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