瞬間接着剤の仕組み 水で重合するシアノアクリレート

身の回りの高分子

瞬間接着剤はすぐに強力に接着できる非常に便利なアイテムです。

瞬間接着剤の代表的な製品としては東亜合成の「アロンアルファ」が有名です。

この記事では、瞬間接着剤がすぐに固まって接着力を発揮する仕組みを解説したいと思います。

1液硬化・常温硬化なのに凄い接着力

瞬間接着剤の素晴らしい点は1液の接着剤かつ常温で硬化するにもかかわらず、非常に強い接着性が出る点です。

アロンアルファのCMでのその接着力を活かしたCMがされていました。

市販の接着剤として1液硬化のものは、ボンドやのりがありますが、接着性がイマイチです。

2液タイプの接着剤としてエポキシ系の接着剤があります。主剤と硬化剤を混合してから塗布することで、強い接着性が出ます。

ですが、エポキシ系は混合する手間と硬化に時間がかかるため、すぐに接着したいときには面倒ではあります。

そのあたりの不便な点を、瞬間接着剤では気にすることなく使えます。

瞬間接着剤がなぜそのような接着性&短い時間ですぐ固まるのか、秘密は主成分にあります。

主成分はシアノアクリレート

アロンアルファなどの瞬間接着剤の主成分はシアノアクリレートです。

上の図は代表的なメチルシアノアクリレートの構造式です。

シアノアクリレートは水を開始剤に重合反応を起こします。

以下の反応機構のように水の求核攻撃からアニオン重合が起こり、ポリマーが得られます。

アクリロニトリルやアクリル酸メチルのようなモノマーではこのようなことは起こりません。

しかし、同じ炭素にシアノ基とカルボニル基が結合していることで水で反応が開始して、素早く重合して硬化します。

これが瞬間接着剤がすぐに硬化する仕組みです。

指にくっつくとすぐに硬化してしまうのも、少しの水でシアノアクリレートの重合反応は開始し、硬化が始まるからです。

瞬間接着剤の弱点は衝撃に弱いところ

瞬間接着剤の弱点は衝撃によって剥離しやすい、つまり耐衝撃性に劣る点です。

しっかり硬化して接着するのですが、硬い代わりに脆くなるという弱点を抱えているわけです。

ですが、東亜合成からもしっかり耐衝撃性を向上させたグレードも発売されています。

振動や衝撃が加わるような箇所を接着する場合は耐衝撃グレードを使うか、他の接着剤を検討した方が良いでしょう。

瞬間接着剤も色んなグレードがある

瞬間接着剤は用途に応じて色々なグレードがあります。

先ほど紹介した耐衝撃性を向上させたものだけでなく、液だれしやすいところでも接着しやすいゼリー状のタイプや木工用、プラスチック用などがあります。

用途にあったものを選択することでより使いやすくなりますので、よく利用される方は製品ラインナップをチェックしてみましょう。

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